2021年度税制改正【医療】セルフメディケーション税制??
セルフメディケーション税制の見直しと延長
セルフメディケーション税制とは、医療費控除の特例です。
通常の医療費控除とは、1年間に支払った同一生計の家族の総医療費から、保険金などで補填された金額を差し引いた額が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の額)を超える場合に、超えた金額を所得から差し引くことができるという制度です。
たとえば、家族の年間の医療費が合計30万円で、保険金から補填された金額がなかった場合は、30万円-10万円=20万円を所得から差し引けるわけです。所得が20万円下がると、最低税率15%(所得税5%+住民税10%)で計算しても、税金が3万円軽減されます。
なお、医療費控除の対象となる医療費には、病院で支払った治療費等だけでなく、ドラッグストアで買った医薬品なども含まれます(ただし、健康増進や美容などのための医薬品は対象外)。なので、1年間に支払った家族の医療費や医薬品購入費は、その領収書やレシートをきちんと保管しておくとよいでしょう。
そして、通常は年間で10万円を超える医療費を支払っていないと医療費控除が受けられないわけですが、少額の医薬品購入費でも医療費控除が受けられるように2017年から誕生したのが、セルフメディケーション税制と呼ばれる医療費控除の特例です。
この特例の対象となるのは、「特定一般用医薬品等購入費」に該当するものです。特定一般用医薬品等購入費とは、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費のことをいいます。
スイッチOTC医薬品の一覧は、厚生労働省のホームページで確認できます。今回の改正で特例の対象となる医薬品の範囲が見直されることになります。
この特例の控除額は、対象となる医薬品等購入費(保険金等で補填された金額を除く)から1万2,000円を差し引いた金額(最高8万8,000円)となります(通常の医療費控除との選択制)。
今回の税制改正では、対象となる医薬品の範囲を見直しつつ、2021年12月末までという期限を5年延長し、2026年12月末までとなります。