住宅ローンの還付金 ③ 還付金額が思ったよりも少ない?
還付金額が思ったよりも少ない?
住宅ローン控除の還付金額は年額でローン残高の1%ですが、だからといって6000万円借りれば60万円戻ってくるわけではありません。というのも、住宅ローン控除の対象となるローン残高には「上限4000万円」という制限があるからです。つまり住宅ローンを4000万円以上借りたとしても、還付金は最大で「4000万円×1%」で40万円。10年間では最大で400万円までとなります。
なお、購入した住宅が長期優良住宅または低炭素住宅に認定されている場合は、住宅ローン控除の対象ローン残高の上限が5000万円にアップし、10年間で最大500万円が還付されます。また、建物に消費税のかからない中古住宅を購入した場合の対象ローン残高の上限は2000万円なので、10年間の還付金は最大200万円です。
消費税率10%が適用される住宅を購入した場合は住宅ローン控除の控除期間が13年間に延長されますが、11年目から13年目までの各年の還付金の限度額は以下のいずれか小さい額になります。
(1)住宅ローン年末残高(上限4000万円※)の1%
(2)建物購入価格(上限4000万円※)の2%の1/3
※長期優良住宅または低炭素住宅の場合は上限5000万円
また、住宅ローン控除はあくまでも所得税の還付制度なので、すでに納めた所得税以上の額は還付されません。仮に住宅ローン残高が4000万円でも、所得税額が20万円なら所得税からの還付金は20万円までです。ただし所得税から還付しきれなかった額は、翌年分の住民税から13万6500円(消費税のかからない中古住宅は9万7500円)を上限に控除され、納税額が減税されます。
では実際にどのくらいの金額が還付されるのか、試算してみましょう。
【ケース1】年収600万円の人が3600万円の住宅ローンを借り、消費税8%で4000万円の住宅を購入
下記の試算条件で計算すると、入居1年目の住宅ローン年末残高は3580万円(金額は概算。以下同)です。単純に控除率1%をかけると35万8000円ですが、このケースでは納めた所得税と住民税からの控除額の上限の合計額が32万9000円と試算されるため、少ない金額のほうの32万9000円が1年目の還付金額となるのです。
2年目以降も同様に計算しますが、5年目の住宅ローン年末残高が3256万円となり、その1%の32万5600円のほうが所得税と住民税からの控除額の上限の合計額を下回るため、この年からはローン残高の1%に相当する金額が還付金額となります。
こうした計算の結果、10年間の控除額の合計は314万1100円と試算されました。
【ケース2】年収800万円の人が5400万円の住宅ローンを借り、消費税10%で6000万円の住宅を購入
下記の試算条件で計算すると、入居1年目の住宅ローン年末残高は5390万円(金額は概算。以下同)です。単純に控除率1%をかける53万9000円ですが、還付金の最大額は40万円ですので、1年目の還付金額は40万円となります。
2年目以降も同様に計算すると、10年間の還付金は毎年40万円となり、1~10年間の合計が400万円。11~13年の還付金は、建物購入価格(上限4000万円※)の2%の1/3ですので、1年の還付金は26万6667円、3年間分で約80万円となります。
こうした計算の結果、13年間の控除額の合計は480万円と試算されました。
このように、住宅ローンを組むと借りた金額に応じて還付金が受け取れますが、実際に還付される額は納めた所得税によっても異なります。還付申告の際には申告書で還付額が計算できるようになっているので、しっかりと確認して手続きしましょう。